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2023年 10月 26日
会津に新そばめぐりに行く。 会津は静かで明るく、至るところに綾瀬はるかちゃんのポスターと、「ならぬことはならぬものです」の標語が貼ってある。 つなぎなしの十割そばをこんなに平らに美しく打つには相当の力が要るに違いない。大吟醸酒のように殻を70パーセントも削っているそうで、色が白くすっきりしたさらしなそばだ。 このあたりの駅はみなかわいい。 ここは佐伯祐三でも描きそうな駅だ。 新そば「めぐり」をするつもりだったのに、はしで掬うとすぐにざるの目が見えてしまう東京あたりの蕎麦屋と違って、東北だからどこも盛りがよく、加えてそばまんじゅうの天ぷらやそばがきやニシンの山椒漬けやらのおまけが付いてくるので、頑張っても二軒しかまわれなかった。 腹ごなしに創業百年の古い麹屋さんで味噌仕込みの体験をする。仕込むといってももう蒸して潰してある国産大豆と、町内産の新米で作られた麹を、粘土やパン生地を捏ねる要領で混ぜるだけ。混ぜた6キロの塊は宅配便で家まで送ってくれて、来年初夏まで自宅で管理熟成させることになる。 楽しみの残るいい旅になった。 #
by Kcouscous
| 2023-10-26 15:04
| 旅
2023年 10月 20日
さて今日の、というかもう四日前の問題だが(笑)、入沢康夫『「ヒドリ」か「ヒデリ」か』(書肆山田/2010)によると、宮沢賢治の手帳に書かれた「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」の原文には「ヒドリ」とあるのに、出版刊行されたものはすべて「ヒデリノトキハ ナミダヲナガシ」となっていることについては、これまで何度も論争が起きているそうなのだ。そのなかでもっとも大きな反響を呼んだのは、むかし花巻市の南部で小作人などが日雇い仕事に出てもらう金を「ヒドリ」とか「ヒデマドリ」と言った、だからこれは農作業だけでは食べていけず日雇い仕事に出なければならなかった農民の悲哀をうたったのだという説が出てきて、それを読売新聞が大々的に取り上げたことだった。この説には賛同者も少なからずいて、時をおいてはくり返し現れてくるのだという。 それに対して、詩人でフランス文学者、宮沢賢治の研究者で「校本宮沢賢治全集」の編者の一人である入沢康夫は、「おとなげないとは思うが」と言いつつ、丹念に反論をくり返している。論旨の流れからも、「サムサノトキハ オロオロアルキ」との対句という点からも、これは賢治が書き間違えただけで、絶対に「ヒデリノトキハ ナミダヲナガシ」でなければならない、と彼は言う。冷夏と旱魃は東北の農民を苦しめる二つの大事件で、賢治の全作品を通じて(そう、入沢さんは全作品をくまなく読み、調べ尽くしているのだ!)この二大事象への恐れがくり返し語られている、と言うのである。それでも納得しない人に対して、彼は決定的な証拠を示す。 これは『グスコーブドリの伝記』の原文で、ここでも賢治は「旱魃」と書いてひらがなでルビを振っているが、「ひど」まで書いて間違いに気づき、「ど」を消して「で」に直して「ひでり」としている。そのすぐあとにまた「ひどり」と書いて直さないでいる箇所もある。つまり、言葉が頭から流れ出てくるのが早くて書くのが追いつかず、賢治には「ヒデリ」を「ヒドリ」と書いてしまう癖があったのだ、と彼は言う。 さらには、「ヒトリ」(独り)という言葉をなまって「ヒドリ」と書いたのだという説もあり、それは説得力ある反論で四、五年で消えたものの、最近になってまたネットの掲示板などで見かけるようになり、こういうのが広まっていくのではないかと著者は懸念している。何よりも、先の読売新聞の記事もそういうニュアンスで書かれていたが、原作者の書いたものを校訂者が勝手に変えることは許されない、原文通りに残すべきだという主張がくり返されることについて、入沢さんはすごく怒っている。 「……話は、冒頭にもどるが、どんな物書きでも書き誤りはする。諸処の証拠に照らして誤りと判断できるものを、正しく校訂して本文にすることは、作者の意図を尊重するうえで必要不可欠のことである。そうした本文校訂の責任は、きわめて重く、かつ多くの困難をともなうものであることを、読者も、編纂者も、出版社も、ここいらで再確認していただきたいと、つくづく思う。」 賢治の作品で生前に出版されたものはほんの少ししかない。それ以外の膨大な作品の原稿を整理し、賢治の読みにくい字を判読し、確かな根拠のもとに意図を推察し、何度も何度も手を入れられた原稿の異校を丹念に記録し、よく読み聞きし、わかり、そして忘れず、校本宮沢賢治全集16巻と補遺にまとめて出版した人たちの苦労は並大抵のものではない。その人たちの努力があるからこそ、私たちはいま賢治さんの作品が読めるのである。 一般に私たちは、校訂者、校閲者、校正者、編集者という人たちの仕事を軽んじてはいないだろうか。 #
by Kcouscous
| 2023-10-20 23:51
2023年 10月 17日
(つづく) #
by Kcouscous
| 2023-10-17 21:52
| 製本/本
2023年 10月 15日
ガザ地区は周囲を壁に囲われて自由を奪われ、物資も何もかも不足していて、若者の失業率は60%を超えるという。パレスチナの地にやってきて建国し、パレスチナの人々をこんな状況に追いやっているイスラエルはわざわざテロリストを育てているようなものだ。 少し前には『ガザの美容室』という映画もあった。ガラス戸一枚隔てた通りから銃声が聞こえてくる美容室にひしめくようにして、不安そうに片目を通りのほうに向けながらも、女性客たちは順番を争ったりつまらない噂話をしたりして、あくまでふつうの日常生活を続けようと抵抗している映画だった。 私のショールを刺繍してくれた人は無事だろうか。 #
by Kcouscous
| 2023-10-15 10:27
| あれやこれや
2023年 10月 01日
9月29、30日、10月1日と開かれた仙台クラシックフェスティバル、通称「せんくら」が終わった。今年は3日間で66公演あり、いまをときめくチェロの若き俊才がたくさん来たのと、時間的余裕があったのとで、これまでで最大の9つの公演を聴いた。頑張った……。始まる時間を勘違いしていてギリギリに滑り込んだり、次のコンサートまでの時間がなくて飲まず食わずでよろよろしたりしたが、なんとか最後の山下洋輔の軽やかでキラキラしたピアノまでたどり着いて、マラソンを完走した気分。 今年はいつになく人出が多かった気もするが、なにしろ一つのコンサートの入場料が1000円台で、世界のさまざまなジャンルで活躍する素晴らしい才能たちの音楽を聴くことができ、わからないなりにいろいろ聴いているうちに耳が訓練されていくような気がするし、何よりも楽しくスカッとするので、もっとみんな出てきたらいいのにと思う。まあ、人それぞれですが。 最初に聴いたのは↓このデュオ。人気があって、チケット完売だった。このコワモテのふたり、普段は神奈川フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターだ。 #
by Kcouscous
| 2023-10-01 22:54
| あれやこれや
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