わたしつくるひと
2024-03-16T12:15:54+09:00
Kcouscous
今日作ったものの覚え書、作らない日のごたく。あるいは単なる生存報告、あるいは積ん読本の読み崩し記録。
Excite Blog
唐津へ
http://homofaber.exblog.jp/30855679/
2024-03-15T21:06:00+09:00
2024-03-16T12:15:54+09:00
2024-03-15T21:06:12+09:00
Kcouscous
旅
二日目は唐津に行った。天神駅から福岡地下鉄空港線に乗ると、県境でJR筑肥線に接続されて佐賀県唐津市まで一直線で行けるようになっているので驚いた。大むかしの学生時代にリュックを背負って周遊券と大型の鉄道時刻表を持って九州を気ままに歩いたときは、もっと不便だったように思う。
唐津城の天守閣から虹の松原を眺める。むかしはここの浜辺を貝を拾いながら歩いた記憶があるが、いまはエレベーターで唐津城に登って遠くから一望する(笑)。松枯れ病で大きな被害があったと聞いたことがあるが、遠くから眺めた限りでは唐津湾に沿って5キロ近く伸びる松の大防風林は健在だった。
静かな町だ。人が写り込まないように気をつけて写真を撮っているわけではなくて、写り込む人がいないのだ。たまに町の人に出会うと、赤ちゃん連れの若いお母さんでもジョギング中のおじさんでも「こんにちは」と声をかけてくれるのがうれしい。
駅近くにある400年続く唐津焼の窯元、中里太郎右衛門陶房を訪ねる。工房は見られないが、屋敷内の陳列館と御茶盌窯記念館を見ることができる。記念館は新しいりっぱなギャラリーになっていて、見たいですかと聞かれたので見たいと言うと、係の人が鍵を持ってきて開けてくれた。つまりこの日は、私たち以外に見学者はいなかったということだ。
現在の当主は中里太郎右衛門14代で、12代の無庵や人間国宝になった13代の逢庵の作品と、桃山時代から江戸時代の古唐津焼が展示されていた。唐津焼は渋い味が特徴だが、13代には色使いがモダンな作品があって、残されたスケッチブックを見るとすごく絵が上手な人だったことがわかる。各地の美術館を訪ねてせっせとスケッチして勉強していたようだ。
江戸時代に将軍家や唐津藩主に献上する陶器を焼いていた御用窯。いまもほぼ完全なかたちで残っていて国史跡となっているそうだが、草に埋もれそうになっているのがすごい。
現在の中里家の登り窯。
こっそりそのへんを歩き回ってのぞいてみたが、なぜか職人さんがひとりもおらず、作業場にも誰もいないのだった。
記念にショップで買ってきた湯呑み一個。
唐津くんち(毎年11月2−4日におこなわれるそう)の曳山を収納展示している「曳山展示場」にも行ってみた。曳山は巨大で華やかで愛嬌がある。ここも見学者は私たちだけ。
さて、ごはん!
玄界灘で獲れたイキのいい魚を食べさせるお店で、「お造り御膳」を食べる。店頭の生け簀から旬の鯵を掬ってきてさばくらしい。最後に皿の上に飾られている骨を揚げてもらった。じっくり時間をかけてパリパリに揚げてくれるので、頭から尻尾まで丸ごと食べられる。福岡、佐賀ではとにかく魚が旨くて、毎日お刺身食べました。
(つづく)
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九州へ
http://homofaber.exblog.jp/30850787/
2024-03-12T11:19:00+09:00
2024-03-16T10:18:42+09:00
2024-03-12T11:19:30+09:00
Kcouscous
旅
三月末が期限切れのマイルがあるのでどこか暖かいところに行きたいと妹が言う。私もマイルがあるし、妹には最近つらいことがあったので元気づけに付き合うことにした。本当は沖縄に寒緋桜を見に行きたかったのだが、タダのチケットには限りがあって沖縄便は2月から3月末までびっしり満席、暖かいところで空席があるのは福岡しかなかったのだ。
というわけで福岡到着。福岡空港からJR博多駅まで地下鉄でなんと5分しかかからず、香港みたいに飛行機は街のすぐ上を飛び交っているのだった。こわ〜〜。
福岡市は大都会だった。博多座の隣のビルの中に広い福岡アジア美術館があり、大陸や東南アジア諸国と歴史的に近い関係を持っていただけに視点が広く外に向けられている感じがある。土地があるのか全体的に街や建物のスペースが広くとられている印象があって、高級ブランド店から何から何まである都会なのに、人々はなんとなくゆったりしているのだった。
アジア美術館では蔡國強の火薬を使った作品制作のビデオとドローイングも展示されていた。いまは亡きミヤケ・イッセイが白いプリーツの服の列に火薬でドローイングする様子を面白がって見ている、ちょっとじんとくるシーンもあった。
さて、夕ごはん。町のカウンターだけの小さな寿司店は人気があるようで外の椅子に座って気長に待っている人も多く、こりゃいつになるかわからないなと思ったら、持ち帰りでいいなら15分くらい待ってくれれば握りますよと言うので、あたりをぶらぶらしながら待つ。
コンビニでビールを買ってホテルで夕食。このお寿司、めっちゃ旨かった。刺身醤油は九州特有のとろりとした甘い醤油でちょっと馴染みがないが、ウニは明礬を使っていない本物のウニだし、どれも新鮮で最高でした。これで1980円。
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O, Wild !
http://homofaber.exblog.jp/30835079/
2024-03-01T19:53:00+09:00
2024-03-01T22:50:36+09:00
2024-03-01T19:53:16+09:00
Kcouscous
未分類
「春わかめ、ボイル済・生食用350円」というラベルの付いた小さなパックを買って、開けたら1メートル近くもある大きな茎一本がまるまる折り畳まれていたのでびっくりした。ワイルドだなぁ。
*
前回の"Perfect Days”について書いた文章に、北米在住のブロガーokanouegurasiさんがたいへん共感してくださり、いいねボタンを2回押そうとしたが押せなかったと書いておられた。ありがとうございます^^
そしてこの映画を見たいと思ってNetflixを探したが見つけられなかったと書かれていた。この映画はいま劇場公開中なので、まだNetflixやAmazonプライムで見ることはできません。最近Netflixに登場した『PLAN 75』は、かの「天声人語」氏が「われらがさくらさん倍賞千恵子がまったく飾らずに平気でしわをさらけ出した」と感動して書いていた映画だが、これが劇場公開されたのは2022年6月なので、劇場公開からNetflixに現れるまでには一年半くらいかかるもよう。以上、業務連絡。
ちなみに、この映画で78歳の役を演じていたさくらさんの実年齢は82歳だそうだが、60周年記念コンサートの動画を見るとまだまだ伸びやかな声が出ていてすばらしい。
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ミモザに雪
http://homofaber.exblog.jp/30821452/
2024-02-22T17:10:00+09:00
2024-02-27T08:59:39+09:00
2024-02-22T17:10:36+09:00
Kcouscous
あれやこれや
月イチの更新だす^^
はや二月も終わりに近いが、年明けからこれまでにいろいろなことがあった。good newsもbad newsもあり、私は帯状疱疹にもなった。いろいろなものを観たり聴いたり読んだりもしたが、ここではそのなかのひとつ"Perfect Days"について書いておこう。
この映画を見たとき、私はなんとなく桐島聡を思い出した。大企業の爆破事件に関わった過激派の学生で、その後50年間も逃亡生活を続け、先日初めて本名を明かして死んだあの彼だ。土建会社の六畳一間の寮に何十年も住み込みで働いていて、月一度ほど近所のバーで飲み、60年代と70年代のブルースやロックを好んで聴き、穏やかな人がらで顔見知りの人たちに「うーやん」と呼ばれて親しまれていたという。家族や昔の友人との交渉はいっさいなく、保険証がないから具合が悪くても病院にかかれず、21歳のときにかぶれた過激思想のためにそうやってひっそり50年間も生きてきたって、なんという人生だろうか。
もちろん映画の役所広司演じる平山さんの暮らしは、似てはいるがそういう悲惨さはない。おそらく家族の期待に沿う生きかたができずに絶縁しただろうことが察せられ、その悲しみを秘めているようすは感じられるのだが、きちんと片付けられた古いアパートの一室で規則的な日々をおくり、東京都内の公共トイレの清掃員という仕事を丁寧にこなし、育てている植物に水をやり、美しい空と木漏れ日を愛し、好きな本と音楽だけを身の回りに置く彼の暮らしは充実していて、本人は何不足なく満たされている。自分の生活のスタイルと価値観をはっきり持っていて揺るぎない。
これをドイツ人のヴィム・ヴェンダース監督が撮ったということが驚きだった。こういう静かで地味な映画がいまの日本で作られることはもう滅多にない。何も事件が起きるわけではないから、つまらない人にはつまらない映画でしかなく、おそらくカンヌ映画祭で主演男優賞を取った映画という話題性で見にきたのであろう一つ隣の席のご夫婦は、半分から最後まで熟睡していた。しかしよく見ているとこの映画は細部が実に楽しいのだ。週一の休みに平山さんはいつも自転車でコインランドリーに行き、洗濯が終わるまでの間に古本屋に行って一冊100円の文庫棚から一冊だけ買う。映画の始まりに読んでいたのはウィリアム・フォークナーだったが、その次に買ったのは幸田文の『木』だった。翌週選んだ本をレジに持っていくと店主の女性は「パトリシア・ハイスミスって、もっと評価されていい作家だと思うんですよねぇ」と力説するのだ。
平山さんは毎日お昼休みにコンビニで買ったサンドイッチを食べながら公園の木々の梢と木漏れ日を写真に撮っていて、古本屋のあとそのフィルムを現像と焼付けの店に持っていって、前回の出来上がった分を受け取る。顔も上げずに本を読みながら応対するその店主が柴田元幸だったので驚いた。柴田元幸は自身が主宰する雑誌『MONKEY』でアメリカの現代文学を翻訳紹介している人気翻訳家で、村上春樹の翻訳の指南役でもある。セリフはないが二度出てきてけっこう印象が強い。ヴィム・ヴェンダーズの友だちででもあるのか?
それからやはりセリフもなくバーの小さなカウンターの隅でギターを弾いている客はあがた森魚だった。平山さんが仕事場に行くときにヴァンの中でいつもかけるカセットテープの音楽はアニマルズやヴェルヴェット・アンダーグラウンドやパティ・スミスやルー・リードやらで渋いのである。そういう時代や自分の世界に固執していて現代や他人に対しては閉じているのかと言えばそうではない。たまたま乗り込んできた金髪に染めたアヴァンギャルドな女の子はかかっている音楽とカセットテープの音にひどく興味を持つし、家出して訪ねてきた高校生の姪っ子は叔父さんについて歩いてトイレを掃除するようすをじっと観察しているが、翌日は自分も手伝うと言う。世代や住んでいる世界に関わりなく、通じる人には通じるものがあるのであり、平山さんは日々そのことを静かに経験している。そういう日々の生活が平山さんにとってのPerfect Daysなのだ。
その後、たまたま日本記者クラブでの主演男優賞受賞記念記者会見の中継を見ることがあった。「役所さんにとってのPerfecft Dayはどんな日ですか?」と聞かれた役所広司は、うーんとしばらく考えた後、「たまの休日に朝起きて今日は何しようかなあと考えて、考えているうちにお昼になって、今日は何しようかなあと考えているうちに夜になって一日が終わってしまう、というような日ですね」と答えたのですごく感心した。深いじゃないですか。こういう人だからこそあの主人公の人物像がリアルに立ち上がってきたのかとも思うが、「いままで演じてきた役のなかでいちばん自分に似ていると思う役は何ですか?」と聞かれて、「ないですね。ひとつもありません」と即答したのには演じる俳優としての自負を感じた。総じて、一時間におよぶ会見の受け答えが知的で、浮わついたところや気取ったところがまったくないことにいたく感心した。
うーむ、映画の話になるとキリがないな。
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新年
http://homofaber.exblog.jp/30658420/
2024-01-10T14:13:00+09:00
2024-01-10T20:20:16+09:00
2024-01-10T14:13:31+09:00
Kcouscous
食べるもん
気力、体力著しく落ちているので、新年早々うなぎ食べました。して、戻ったのか??
*
2024年は元日の大災害で幕開きとなってしまい、何やら不穏な一年を予想させられるが、なんとか平和で穏やかな年になって欲しい。
テレビニュースで雪を集めてトイレに流している被災地の人を見て、ああ、2011年には私も同じことをしたなあと思い出した。あれは少しくらいの雪ではどうにもならないのである。よく災害に備えて風呂の水はいっぱいにしておくようにと防災関連の手引きに書いてあるが、実際には揺れに揺れて風呂桶の水がほとんど外に飛び出してしまっていて、あまり役に立たなかった。しばらくして近くの公園に給水車が来るようになり、物置にあった20リットル入りのポリタンクを持って何度か水をもらいに行ったが、あれは満タンにしてもらうと恐ろしいことになるのである。ペンより重いものを持ったことのない私は、家までの100メートルくらいの道を4回も休みながら息も絶え絶えに運び、もっと体を鍛えておかないと生き延びられないぞと切実に思ったものだった。
うちのあたりはガスの復旧がもっとも遅くてほぼ1か月かかったが、最後に使用再開のための点検に来てくれたのは大阪ガスの人だった。今日が仕事の最後と言い、「明日やっと家に帰れます」と笑っていて、本当にありがたかった。今回の被災地でもインフラの復旧と日常生活への復帰にはまだまだ時間がかかると思うが、みなさんどうか生き延びてください。
ベランダ干しの自家製干し柿入り柿なます。
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Merry Christmas
http://homofaber.exblog.jp/30560807/
2023-12-25T13:04:00+09:00
2023-12-25T15:53:26+09:00
2023-12-25T13:04:38+09:00
Kcouscous
あれやこれや
ガザに平和を
ウクライナに安らぎを
https://southernallstars.jp/feature/special-kc2023-southernallstars
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年の終わりに
http://homofaber.exblog.jp/30542922/
2023-12-21T22:37:00+09:00
2023-12-21T22:44:26+09:00
2023-12-21T22:37:09+09:00
Kcouscous
製本/本
産直所に出かけて野菜の仕入れ。ゆず、セリ、里芋、原木しいたけ、など。酷暑の夏以降、野菜がすごく高かったが、全体的に価格が落ち着いてきたようだ。手前にあるロメイン・レタスは、むかしロメイン・レタスなんて聞いたことも見たこともないころに伊丹十三がおひたしにすると絶品と何かに書いていて、食い意地が張っているのでずっと覚えていた。最近はときどき見かけるようになったが、手軽だしシャキシャキしておいしいのでついサラダにしてしまって、まだおひたしは試していない。次回こそ。
この冬の隙間しごと。
*今日の本
『とこしえのお嬢さん ー 記憶のなかのひと』『みんな忘れた ー 記憶のなかのひと』野見山暁治(平凡社/2014、2018)
今年は兄が死に、また坂本龍一や谷村新司や大江健三郎や富岡多恵子や奈良岡朋子やジェーン・バーキンや山田太一や寺尾やらの近しい人たち(気持ち的に^^)がたくさん亡くなった寂しい年だった。生涯現役だった私のいちばん好きな絵描き、野見山暁治もついに102歳で逝った。
この二冊はその102年間の長い人生で野見山さんが出会った人々について語ったエッセイ集。ピカソや林芙美子や藤田嗣治や高田博厚や小川国夫や加藤周一や三岸節子や、いやはや、出会った人々の顔ぶれもすごいが、短い文章でその人々の人柄を鮮やかに描き出す文章力もすごい。そこに現れてくるのは一般的なイメージとは裏腹の気の弱そうな岡本太郎、戦争画を描いてしまったことに怯える猪熊源一郎、丸木位里夫人になる前の肝っ玉姐さんの俊、生き別れた息子と再会を果たして孫娘の結婚式で慟哭する水上勉などなど。わずか2ページずつのエッセイのなかに、一本の映画を見るような胸に迫るドラマがある。
野見山暁治という人は人間が好きなのだと思う。決してベタベタした付き合いをするではなく、去る者は追わないが、来る者は何度も迷惑をかけられてしょうがねぇなあと思いながらも決して突き放さないのである。ずいぶん歳を取ってからも、昔知り合いだった人の訃報を小さな新聞記事で見つければ、住所を頼りにバスを乗り継いでお線香を上げに行ったりしている。そしてもう長い間会っていなかったが、彼の部屋には自分が昔描いた黒ずんで汚くなった絵がまだ掛けられていたなどと書くのである。こんなふうに多くの鮮烈な出会いと濃密な人間関係を持てるのは、そういう人だからこそなのだと思う。
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ヤーコン
http://homofaber.exblog.jp/30521292/
2023-12-10T19:56:00+09:00
2023-12-10T23:59:41+09:00
2023-12-10T19:56:08+09:00
Kcouscous
製本/本
ヤーコンというめずらしい自家栽培の野菜をもらった。あまり手がかからなくて栽培が簡単なんだそうだ。初めてみる野菜だったのでWikiを見てみると、南米アンデス地域原産のキク科スマランサス属の根菜で、紀元前からアンデスの先住民によって栽培されていたが16世紀のスペイン人侵略で衰退したという。しかしどうやってか、現在に至るまで2000年ものあいだ脈々と栽培が続けられていて、いまでは世界各地に広まっているが、この苗の原種はペルーから無断で持ち出されたものだとして、各地にペルー政府から警告書が届いている、とも書かれている。え〜、ほんとかぁ?
Wikipediaというのは調べものに便利なツールだが、ときどき変なことも書いてある。誰が書いているのかわからないし、システムとして誰でも書き込んだり編集したりできるものなので、頭から信じ込んでコピペしたりはしないほうがいいようだ。
それはさておき、ヤーコンはさつまいもに似ているが、芋ではないのででんぷんは含んでおらず、整腸作用のあるオリゴ糖を豊富に含んでいるのだそうだ。サラダにして食べるといいよと言われたが、ちょっと空が寒々としていたので、にんじんと合わせてきんぴらにした。シャキシャキして甘みがあってとてもおいしかった。ごちそうさまでした。
それから八百屋にカリンが出ていたので、カリン酒も仕込んだ。これは喉の痛みと咳に効くらしい。喉にいいという効用と、あれは工業用アルコールみたいなものだよと言う人もいるホワイトリカーみたいなものを飲むのとどちらが身体にいいかはわかりませんが(笑)
*今日の本
『緑の歌 ー 収集群風』高妍(ガオ・イェン)(KADOKAWA/2022)
ここしばらく私は個人的に台湾ブームなのだが、偶然、この台湾の若い女性作家の漫画本を貸してくれた友達がいて、こんな世界があるんだなぁと驚いた。内容は、高校から大学に進学する年代の一人の女の子が自分は何がやりたいのか、どう生きていけばいいのかを悩み葛藤する青春ストーリーなのだが、その狂言回しに使われているのが(言いかたが古いか…^^)なんと「はっぴいえんど」のヒット曲「風を集めて」(収集群風!)なのだ。はっぴいえんどは1970年ごろに活動した日本のグループ。私はこのグループのことはよく知らないが、そのメンバーだったという細野晴臣や大瀧詠一は知っている。そんな50年も前の日本のポップスが現代の台湾の若い女の子を励まし、熱烈に聴かれているということに驚いた。
主人公の女の子は興味を持って調べていくうちに「細野さん」がもう70歳になっていると知って驚くのだが、その細野さんがソロ・コンサートを開くために台北にやってくるというニュースに大興奮する。その70歳になった細野さんの顔がのっぺらぼうで目鼻が描かれていないのがおかしいが、時代も国境も越えた交流がここまで広がっていることに感銘を覚えた。確かに台北に行ったとき、大きな本屋のCDレコード売り場に昔の松田聖子や島倉千代子やキャンディーズやらのレコードアルバムが山ほど並んでいてびっくりしたが、文化は時も国境も越えて人々の心に訴えかけ、嫌韓や嫌中などという人々の狭い意識を軽く飛び越えて、どこまでものびやかに広がっていっているのだった。村上春樹が作者の高妍さんの絵をどこかで見て気に入り、自著『猫を棄てる』の表紙絵を依頼したというのも驚きだった。
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漢字文化圏
http://homofaber.exblog.jp/30497535/
2023-11-23T22:32:00+09:00
2023-11-25T11:40:26+09:00
2023-11-23T22:32:23+09:00
Kcouscous
食べるもん
天候や世の中がめまぐるしく変化する今年の秋。それに合わせるように当方もなんとなくバタバタと気ぜわしく過ごしていた。それでも食用菊(黄菊と紫色の「もってのほか」)が出ていたので、湯にちょっと酢をたらして茹でる。水にさらして絞ったものを小分けして冷凍しておくと、ほうれん草や小松菜などとポン酢であえて簡単におひたしができて便利だ。
子どものころはこういう独特な香りと苦味のあるものが嫌いだったが、いまは季節を味わうものとして、見つければ積極的に食卓に載せる。おとなになりました^^
話は脈絡なく飛ぶが、↑この台湾のテレビ局のニュース画面をちらりと目にして、漢字ってすごいなぁと改めて感心した。なんて読むのか知らないが、これって羽生結弦は結局「短命婚」に終わった、閃光のように突然だった結婚も3.5カ月で離婚となった、という意味なんじゃないだろうか。むかし、お互いの言語を知らない中国人の男子学生と、筆談で孫悟空だとか猪八戒だとかについて一時間も「しゃべって」笑ったことがあるが、漢字文化圏にいる人たちは表意文字の漢字で意思を通じ合えるのだ。これってすごいことじゃないだろうか。
文化革命以降(いや、もっと前の1950年代の「文字改革」後らしいが)へんやつくりを省略化した簡体字を使うようになった中国とかシンガポールでは無理かもしれないが、日本語と同じ繁体字を使っている台湾や香港では看板や注意書などの意味はだいたい察しがつくことが多い。バスやタクシーの前の席のカバーに「請繋安全帯」と書いてあれば、シートベルトを締めてくださいということだな、「小心階段」とあれば、階段に気をつけてということだなとわかる。「洗手間」はお手洗いの部屋、トイレだ。「銀行」や「警察」はそのままだし、「銭包」は賄賂のことではなく、もちろんサイフのことだろう(笑)。
韓国語を独習しようと思ったときも、「お願いします」という表現(부탁합니다.プッタカムニダ)がなかなか覚えられなかったが、お願いの「プッタク」は漢字で書くと「付託」なのだと教わったらすぐに覚えた。「ありがとう」の「カムサハムニダ」も、「カムサ」は漢字で書けば「感謝」だとわかれば覚えやすい。漢字恐るべし。
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新そば!
http://homofaber.exblog.jp/30476536/
2023-10-26T15:04:00+09:00
2023-10-26T19:31:52+09:00
2023-10-26T15:04:58+09:00
Kcouscous
旅
会津に新そばめぐりに行く。
会津は静かで明るく、至るところに綾瀬はるかちゃんのポスターと、「ならぬことはならぬものです」の標語が貼ってある。
ここはそばを打っている人も調理をしている人もお運びをしている人も、働いているのはすべて女の人である。農協婦人部の経営でもあるのか?
つなぎなしの十割そばをこんなに平らに美しく打つには相当の力が要るに違いない。大吟醸酒のように殻を70パーセントも削っているそうで、色が白くすっきりしたさらしなそばだ。
このあたりの駅はみなかわいい。
ここは佐伯祐三でも描きそうな駅だ。
新そば「めぐり」をするつもりだったのに、はしで掬うとすぐにざるの目が見えてしまう東京あたりの蕎麦屋と違って、東北だからどこも盛りがよく、加えてそばまんじゅうの天ぷらやそばがきやニシンの山椒漬けやらのおまけが付いてくるので、頑張っても二軒しかまわれなかった。
腹ごなしに創業百年の古い麹屋さんで味噌仕込みの体験をする。仕込むといってももう蒸して潰してある国産大豆と、町内産の新米で作られた麹を、粘土やパン生地を捏ねる要領で混ぜるだけ。混ぜた6キロの塊は宅配便で家まで送ってくれて、来年初夏まで自宅で管理熟成させることになる。
楽しみの残るいい旅になった。
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ヒドリかヒデリか(つづき)
http://homofaber.exblog.jp/30472519/
2023-10-20T23:51:00+09:00
2023-11-05T23:33:02+09:00
2023-10-20T23:51:28+09:00
Kcouscous
未分類
さて今日の、というかもう四日前の問題だが(笑)、入沢康夫『「ヒドリ」か「ヒデリ」か』(書肆山田/2010)によると、宮沢賢治の手帳に書かれた「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」の原文には「ヒドリ」とあるのに、出版刊行されたものはすべて「ヒデリノトキハ ナミダヲナガシ」となっていることについては、これまで何度も論争が起きているそうなのだ。そのなかでもっとも大きな反響を呼んだのは、むかし花巻市の南部で小作人などが日雇い仕事に出てもらう金を「ヒドリ」とか「ヒデマドリ」と言った、だからこれは農作業だけでは食べていけず日雇い仕事に出なければならなかった農民の悲哀をうたったのだという説が出てきて、それを読売新聞が大々的に取り上げたことだった。この説には賛同者も少なからずいて、時をおいてはくり返し現れてくるのだという。
それに対して、詩人でフランス文学者、宮沢賢治の研究者で「校本宮沢賢治全集」の編者の一人である入沢康夫は、「おとなげないとは思うが」と言いつつ、丹念に反論をくり返している。論旨の流れからも、「サムサノトキハ オロオロアルキ」との対句という点からも、これは賢治が書き間違えただけで、絶対に「ヒデリノトキハ ナミダヲナガシ」でなければならない、と彼は言う。冷夏と旱魃は東北の農民を苦しめる二つの大事件で、賢治の全作品を通じて(そう、入沢さんは全作品をくまなく読み、調べ尽くしているのだ!)この二大事象への恐れがくり返し語られている、と言うのである。それでも納得しない人に対して、彼は決定的な証拠を示す。
これは『グスコーブドリの伝記』の原文で、ここでも賢治は「旱魃」と書いてひらがなでルビを振っているが、「ひど」まで書いて間違いに気づき、「ど」を消して「で」に直して「ひでり」としている。そのすぐあとにまた「ひどり」と書いて直さないでいる箇所もある。つまり、言葉が頭から流れ出てくるのが早くて書くのが追いつかず、賢治には「ヒデリ」を「ヒドリ」と書いてしまう癖があったのだ、と彼は言う。
さらには、「ヒトリ」(独り)という言葉をなまって「ヒドリ」と書いたのだという説もあり、それは説得力ある反論で四、五年で消えたものの、最近になってまたネットの掲示板などで見かけるようになり、こういうのが広まっていくのではないかと著者は懸念している。何よりも、先の読売新聞の記事もそういうニュアンスで書かれていたが、原作者の書いたものを校訂者が勝手に変えることは許されない、原文通りに残すべきだという主張がくり返されることについて、入沢さんはすごく怒っている。
「……話は、冒頭にもどるが、どんな物書きでも書き誤りはする。諸処の証拠に照らして誤りと判断できるものを、正しく校訂して本文にすることは、作者の意図を尊重するうえで必要不可欠のことである。そうした本文校訂の責任は、きわめて重く、かつ多くの困難をともなうものであることを、読者も、編纂者も、出版社も、ここいらで再確認していただきたいと、つくづく思う。」
賢治の作品で生前に出版されたものはほんの少ししかない。それ以外の膨大な作品の原稿を整理し、賢治の読みにくい字を判読し、確かな根拠のもとに意図を推察し、何度も何度も手を入れられた原稿の異校を丹念に記録し、よく読み聞きし、わかり、そして忘れず、校本宮沢賢治全集16巻と補遺にまとめて出版した人たちの苦労は並大抵のものではない。その人たちの努力があるからこそ、私たちはいま賢治さんの作品が読めるのである。
一般に私たちは、校訂者、校閲者、校正者、編集者という人たちの仕事を軽んじてはいないだろうか。
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ヒドリかヒデリか
http://homofaber.exblog.jp/30470330/
2023-10-17T21:52:00+09:00
2023-10-20T22:29:00+09:00
2023-10-17T21:52:48+09:00
Kcouscous
製本/本
あるブログに触発されて、古い資料を探し出した。これは誰でも知っている宮沢賢治の『雨ニモマケズ』。賢治の草稿を複写したこの巻物みたいなのは、賢治の命日の9月21日に毎年開かれている賢治祭に行ったときに、来場者全員におみやげとして配られたもの。
添えられた説明書に、この『雨ニモマケズ』の周辺事情が書かれている(カメラの精度が悪くてすみませんーー;)。封筒に「開館30周年記念」とあり、調べると岩手県花巻市の宮沢賢治記念館は1982年に開館しているので、このときは2012 年だったことがわかる。えっ、わたし、東日本大震災の翌年に花巻まで行ってるのか?!
過ぎたことはもうどんどん忘れて何もかもおぼろなので驚いてしまうが、確かある年の賢治祭にチェリストの藤原真理が来て、記念館に展示保存されている賢治のチェロを弾いたと新聞に出ていたので、これは聞きにいかなくちゃと思って翌年花巻まで出かけたのだった。この年はそういう節目の年だったからかステージのある大きな会館で開かれ、この年も藤原真理さんが演奏したがこの時弾いたのはご自分のチェロだった。そして賢治のチェロはSUZUKI製で、大切に保管され手入れされていたようで保存状態がよく、いい音がしたと言われた。それから、賢治の弟の清六さんの孫という背の高い青年が挨拶された。
さて、今日の問題は、みんなが「ヒデリノトキハ ナミダヲナガシ」と覚えているあの句が、賢治の草稿を見ると「ヒドリノトキハ」と書かれているということである。
(つづく)
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ガザのショール
http://homofaber.exblog.jp/30468360/
2023-10-15T10:27:00+09:00
2023-10-15T10:54:21+09:00
2023-10-15T10:27:21+09:00
Kcouscous
あれやこれや
これはパレスチナ自治区ガザの女性が刺繍したショール。窮乏するガザ地区の人々の生活の少しでも足しになるようにと、日本で注文を取ってガザの女性たちのためにパレスチナの伝統的な刺繍の仕事を作り出している女性がいる。一昨年、私も一枚注文した。出来上がって送られてくるまで半年余りかかった。この細かな針目を見れば、それだけ時間がかかるのも不思議はない。
ガザ地区は周囲を壁に囲われて自由を奪われ、物資も何もかも不足していて、若者の失業率は60%を超えるという。パレスチナの地にやってきて建国し、パレスチナの人々をこんな状況に追いやっているイスラエルはわざわざテロリストを育てているようなものだ。
少し前には『ガザの美容室』という映画もあった。ガラス戸一枚隔てた通りから銃声が聞こえてくる美容室にひしめくようにして、不安そうに片目を通りのほうに向けながらも、女性客たちは順番を争ったりつまらない噂話をしたりして、あくまでふつうの日常生活を続けようと抵抗している映画だった。
私のショールを刺繍してくれた人は無事だろうか。
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せんくら 2023
http://homofaber.exblog.jp/30453116/
2023-10-01T22:54:00+09:00
2023-10-08T15:39:40+09:00
2023-10-01T22:54:57+09:00
Kcouscous
あれやこれや
9月29、30日、10月1日と開かれた仙台クラシックフェスティバル、通称「せんくら」が終わった。今年は3日間で66公演あり、いまをときめくチェロの若き俊才がたくさん来たのと、時間的余裕があったのとで、これまでで最大の9つの公演を聴いた。頑張った……。始まる時間を勘違いしていてギリギリに滑り込んだり、次のコンサートまでの時間がなくて飲まず食わずでよろよろしたりしたが、なんとか最後の山下洋輔の軽やかでキラキラしたピアノまでたどり着いて、マラソンを完走した気分。
今年はいつになく人出が多かった気もするが、なにしろ一つのコンサートの入場料が1000円台で、世界のさまざまなジャンルで活躍する素晴らしい才能たちの音楽を聴くことができ、わからないなりにいろいろ聴いているうちに耳が訓練されていくような気がするし、何よりも楽しくスカッとするので、もっとみんな出てきたらいいのにと思う。まあ、人それぞれですが。
最初に聴いたのは↓このデュオ。人気があって、チケット完売だった。このコワモテのふたり、普段は神奈川フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターだ。
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秋空を迎えに
http://homofaber.exblog.jp/30448019/
2023-09-24T23:57:00+09:00
2023-10-01T19:11:31+09:00
2023-09-25T00:29:46+09:00
Kcouscous
旅
誘われて花巻市東和町の萬鉄五郎美術館に「安野光雅展」を見にいく。9月24日までなのでギリギリ。だまし絵や週刊朝日の表紙絵、昭和35年ごろに仕事にしていた図画工作の小学校教科書など、安野光雅の幅広い仕事を反映した盛り沢山の内容で楽しかった。図画工作もこんな教科書で勉強したら面白かっただろうな。
岩手の空はただただ広くて、澄んでいて、美しい。
おみやげは地元で採れた果実100%のジュースと南部せんべい。このあたりはどこを見ても賢治さんがいるのでほのぼのする。
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