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2016年 07月 02日
最近、なんとなく連鎖的に読んだ本。 『食といのち』辰巳芳子(文春文庫/2014) 辰巳芳子と、生物学者の福岡伸一、看護学研究所長の川嶋みどり、小児科医の細谷亮太、倫理学者の竹内周一との対談集。いつものようにお説教臭くはなく(^^;)、病人と死期に近い人においしいものを食べさせたいと願う辰巳さんが、各界の専門家と人のいのちについて考えている。 『死を想う』石牟礼道子・伊藤比呂美(平凡社新書/2007) カリフォルニアの自宅と熊本の実家を一カ月おきに往復して両親の介護をしている詩人の伊藤比呂実が、人が「死ぬ」とはどういうことかをどうしても知りたくて、ほかの人にはうかつに聞けないが石牟礼さんならだいじょうぶだろうと、パーキンソン病で不自由な暮らしをしている石牟礼道子にしつこくしつこく聞いている面白い対談集。 そういえば、最近人は「死ぬ」という言葉を使わなくなった。「死」という言葉を意識的に避けているのかどうか、上の本でも辰巳芳子は「いのちがしずまる人」という言い方をしている。昨日は「私が亡くなったら残された人は……」と言った人がいてびっくりした。猫や「ゾウの花子が亡くなった」という言い方にも違和感があるが、「亡くなる」というのは自分についても使うんだろうか? この本ではふたりともたっぷり死ぬ、死ぬという言葉を使って、死を真っ向から考えていて小気味いい。読んでみてわかったことは、結局、人は死んでみないとわからないということだ。『梁塵秘抄』の話がくり返し出てくるので、この本も読んでみなければ。 『をみなごのための室生家の料理集』室生洲々子(亀鳴屋/2016) 室生犀星の孫による、室生家の日常食のレシピ集。表紙の犀星の絵と手書き文字(武藤良子)と造本(糸かがりの列帖装)に惹かれて買ったが、中身はゆるい。 材料に鯖の缶詰とあるのに、作り方には鮭をほぐして入れるとあったり、玉子と卵が混在しているが、まあどっちでもいいということだろう。お酒、お砂糖、お塩、お醤油、お茄子、おそうめん、お鍋、お豆腐、お味噌という表現もかったるいが、いかにもつつましい良いお宅の家庭料理という味は出ているかもしれない。文豪の家庭でも、けっこうふつうのシンプルなものを食べていたんだなという感想。 『食べごしらえ おままごと』石牟礼道子(中公文庫/2012) すごく深い。人は食べるものでできている、ということが強烈に胸に迫る本。その人の日々の暮らしでも生き方でも考え方でも、他の人や世の中との関わり方でも死に方でも。 今日いちばんのお薦め。
by Kcouscous
| 2016-07-02 12:25
| 製本/本
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Comments(8)
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motot
at 2016-07-02 20:52
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ふむふむ、石牟礼さんのは、読んでみたいの感じ。
人は食べるものでできている、って思ってるし。 こんなはずじゃなかった、とか、どうしてこうなるん?とか思いながら死ぬのだけは遠慮したいケド。 こればっかしは天まかせ・・・
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Kcouscous at 2016-07-02 23:24
*motoさん
ほんに熊本ん人はよかもん食べて、懐の深いよか人ばかりのごたるばい、という感じ。ぜひ読んでみなっせ。 まあねぇ、これでいいのだと思って死ねる人は少ないでしょう。私は「ああ、もう片付けが間に合わない」と思いながら死ぬのが恐怖・・・
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stcl at 2016-07-03 06:44
わたしも身内に「亡くなる」をつかうのは違和感を覚えるけど、語源は「失く・なる」だろうから、別にいいのかなぁ。
『食べこしらえ…』はいいよね。前書きが好き。「猫が青草を食べて戻すときのように」っていうところ。
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Kcouscous at 2016-07-03 16:50
*stclさん
敬語にすれば「お亡くなりになった」だから、別にいいのか……。やっぱり違和感は残るけど。 うん、「食べることには憂愁が伴う」のところね。思わずう〜むとうなりました。私は「ぶえんずし」の項の父親の描写が好き。
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min_y at 2016-07-04 14:19
まずは、いちばんのお薦め「食べごしらえ おままごと」を読んでみたいです。
「ら」抜き言葉は許せる(というか私自身が使っているかも?)けどバカ丁寧言葉は我慢できない方なので自分のことまで「亡くなる」はやはりかなり違和感があります。でもNHKのアナウンサーでも犬に「餌をあげる」とか花に「水をあげる」という言葉づかいをする時代だから、それもありということなのでしょうね。
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Kcouscous at 2016-07-05 10:58
*minminさん
私は日本語文法を知らないのでただ自分の感覚と好き嫌いだけでものを言っていますが、「あげる」も引っかかりますよね。 「あげる」はどうも「さしあげる」の省略形のように感じるので、動物に「餌をあげる」とか「うちの子どもに何をあげたらいいのか」なんて言い方には激しく違和感を感じます。もっとも自分の好き嫌いだけで言っているので説得力はないんですけどね^^
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motot
at 2016-07-17 22:03
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食べごしらえ、読みました。
日本会議本読んでるときの、タンツボ覗いてるような(失礼)ゲロゲロ感がきれいに消えました。 五歳の道子が初めてたすきをかけてもらって食べごしらえのこと始めをするときの、周りの大人のなんと慈愛に満ちて、ゆとりのあることよ。 「神さまと食を共にしていた」時代ですのう。
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Kcouscous at 2016-07-18 00:11
*motoさん
う〜む、清涼剤の後に日本会議本読んでる私は立ち直れないかも……。 その食べごしらえのこと始めのところはとくべつ胸にしみます。まさしく大人たちの余裕、人間的なゆとりだよね。大人にそんなふうに接してもらった子どもは一生それを忘れないし、その記憶がその子の人間性を育てていくんだと思う。
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