by Kcouscous カテゴリ
フォロー中のブログ
foggyな読書 ことのは・ふらり・ゆらり... となえウタと 往来座地下 NabeQuest(na... 春巻雑記帳 日常と夢の記憶 石のコトバ O Kumatetsu Ga... Lenzgesind エッフェル塔マニアの「そ... 胡乱亭 さし絵のサイン 水牛だより ヒツジのタンス らしさ ーY.tricotー atelier ALDE... toriko les 100 sacs... 光と影をおいかけて 風 daily-sumus2 日々の皿 侘助つれづれ ウェスタンニューヨークの... daily-sumus3 絵日記日和 ウェスタンニューヨークの... 外部リンク
別館
ライフログ
ブログジャンル
|
2014年 06月 15日
部屋を片付けていたら左の本が出てきた。これはざっと10数年前、誘われて「昔の少女たち」5人でプリンスエドワード島に行ったときに、乗り換えの空港で買ったんだった。いまの朝の連ドラでアニメの女の子が走り回っているあの緑の島だ。島は遠くて乗り換えが3回あり、最後の飛行機はカタカタする小さなバスみたいなプロペラ機だったが、確か、閑散とした夜のトロント空港でかなり時間があったので、書店をぶらぶらして料理本を一冊買い、ひまそうにしていたレジの若い女の子に「何かお薦めの本はない?」と聞いた。彼女はちょっと考えて、「これすごくよかった。もう、わたし泣いたっ」と言って、後ろの陳列棚に立ててあったこの本を渡してくれたのだった。そのまま忘れて、はや10数年。月日のたつのは速いものですなあ。本はすでにヤケて黄ばんでいる。 せっかく薦めてくれたのにこれではいかんと思って読んでみた。調べてみると訳本が出ていたので、もちろん日本語で読んだほうが早いから訳本で読んだ。『雷にうたれて死んだ人を生き返らせるには』ゲイル・アンダーソン=ダーガッツ著・堀内久美子訳(DHC/2000)。 マジックリアリズムというのか、不思議な小説だった。第二次世界大戦下のカナダ西部の農場に暮らす一家の物語で、ベスという15歳の娘の一人称で語られる。周囲にはもののけの漂う深い森があり、過酷な大自然に負けて精神に異常をきたした移民たちがおり、インディアンの居留地があって古い伝説が人々の生活のすみずみに浸透している。たとえばタイトルの「雷にうたれて死んだ人を生き返らせる」方法は、「雷で死んだ人は、水風呂に二時間浸す。それでも息を吹きかえさなければ、酢を加えてもう一時間浸けておく」ことである。淡々とした語りだが、起きるできごとや人々が置かれた状況はかなり凄惨だ。過酷な暮らしのなかで少女は強くたくましく成長していく。そこに感動があるが、全体としては不気味でつらい物語だ。あの女の子はどこで泣いたんだろうか。 人が薦めてくれたものを読んだり見たりするのは面白い。自分が知らなかった世界を知ることになるし、そのひとはどうしてこれを薦めたんだろうと、結局はその人のことを考えることになる。
by Kcouscous
| 2014-06-15 18:33
| 製本/本
|
Comments(8)
Commented
by
mototot
at 2014-06-15 22:30
x
きょう車中でブログなどみていて、どこを押したか、2009年Mジャクソンの映画の感想、コメなど読んでて同じことを思ってた。
結局どこにひっかかるのか、面白かったのかは、すべてその人の問題。客観的な評価なんてないわよね〜
0
Commented
by
とっしゅ
at 2014-06-15 23:35
x
なるほど…。
Commented
by
Kcouscous at 2014-06-16 10:32
*motototさん
どこを押すとそんなのが出てくるのか…それ、私のブログ〜? ぜんぜん覚えはないけど、客観的な評価なんてないというのは同感です。その人自身のなかでも、状況、年代によって感じることは変わってくるよね。
Commented
by
Kcouscous at 2014-06-16 10:33
*とっしゅさん
そうなのよ…。
Commented
by
daikatoti at 2014-06-16 11:27
う〜ん、最近そういうこと思っていた。
なんでも自分の興味のあることに関連付けて見てしまうんだよね。 それにしても、怖いですがな、雷に打たれた人を二時間水に漬けておく?それでダメなら酢に漬けるって!!@@! インディアンってとこが興味を惹きますばい。
Commented
by
min_y at 2014-06-16 11:57
人が薦めてくれたものって、難しすぎるかあほらしすぎて受け入れられないってものもあるけれど、中にはそれまで知らなかったことに興味を持つきっかけになるものもありますね。そうやって新しい世界を知るのはいくつになっても楽しいものです。
ところで、この本、「マジックリアリズム風」ってところに惹かれて読んでみたくなりました。(泣くかどうかはわかりませんが・・・)
Commented
by
Kcouscous at 2014-06-17 00:06
*totiさん
先住民が受け継いできた知識文化は侮れませんが、自然の力はあまりに強大で恐ろしいので、それに押しつぶされないで生きていくためには、まじないや呪いや霊の力や迷信やらが必要なんだろうと思います。 今度、雷に打たれた人を見たときは試してみましょね〜^^
Commented
by
Kcouscous at 2014-06-17 00:22
*min_yさん
あの人が薦めるんだったら、とりあえず読んでみよう見てみようということがあるから、結局は「人」ですかね。 この本、ラテンアメリカ文学的不思議不気味系なので、minminさんのテイストにあうかも^^ 日本ではほとんど話題にならなかったと思いますが、カナダではベスト&ロングセラーだそうなので、風土という要素も大きいかもしれません。
|
ファン申請 |
||