by Kcouscous カテゴリ
フォロー中のブログ
foggyな読書 ことのは・ふらり・ゆらり... となえウタと 往来座地下 NabeQuest(na... 春巻雑記帳 日常と夢の記憶 石のコトバ O Kumatetsu Ga... Lenzgesind エッフェル塔マニアの「そ... 胡乱亭 さし絵のサイン 水牛だより ヒツジのタンス らしさ ーY.tricotー atelier ALDE... toriko les 100 sacs... 光と影をおいかけて 風 daily-sumus2 日々の皿 侘助つれづれ ウェスタンニューヨークの... daily-sumus3 絵日記日和 ウェスタンニューヨークの... 外部リンク
別館
ライフログ
ブログジャンル
|
2014年 11月 29日
近くの美術館でいまミレー展をやっていて、そのポスターを見るたびに『ワン・ドゥギ』という韓国映画を思い出す。これは韓国版『三丁目の夕日』みたいな喜劇的人情映画だが、韓国にもフィリピン人やインド人が出稼ぎに来ていて差別されているんだなとか、韓国社会のいろいろがわかってとても面白い。 ワン・ドゥギはソウルの高校の問題児で、父親は障害者の行商人、母親はフィリピン人という、なかなか厳しい環境に育っている。当然世をすねていてすべてに投げやりだが、これが親思いのいい子なのだ。乱暴で一見やる気のないダメ教師に見える担任は、嫌がられながらも徹底的に彼にかまう。 美術の時間、若い女教師もこの『落ち穂拾い』の絵をスライドで見せながら、いちばん後ろの窓際の席でぼんやりしているワン・ドゥギをあてて、この絵を見てどう思うかと聞く。ワン・ドゥギは、右側のおばさんはちらっとこっちを見て、“見んなよ”と言っている、と答える。級友たちは笑うが、女教師は興味を示して「確かに、気楽に絵を描いているミレーに向かって、“見んなよ”と言ってるのかもしれないわね」と言い、「それから?」と続きを促す。するとワン・ドゥギは、このおばさんたちはこき使われていて、ひどい扱いをする農場主を怒っている、わらを拾っているように見せかけているがあれは目つぶしに使うのだ、真ん中のおばさんの手は異様に大きいが、あれは石を握っている、たぶんこのひとたちは外国人の労働者なのだと言う。 思わず笑ってしまうが、この映画を見たあとではもうこの絵はどうしたって、石を握っていまにも資本主義に抗おうとしている労働者の絵にしか見えなくなる。
by Kcouscous
| 2014-11-29 10:12
| あれやこれや
|
Comments(10)
Commented
by
とっしゅ
at 2014-11-29 17:46
x
確かに石を握っている。
そう見える。 そのようにしか見えなくなってしまった。
0
Commented
by
daikatoti at 2014-11-29 22:08
Commented
by
Kcouscous at 2014-11-30 08:19
Commented
by
Kcouscous at 2014-11-30 08:22
Commented
by
morigurasi at 2014-11-30 22:59
どなたも深読みしすぎ...(ハハハ)
でも優れた絵(アート)も文章も独り立ちしてしまう。見る側の感性に寄り添うことが出来るってことでしょうね。 ところでよくよくながめたら 右端の女性は黒人にみえる。植民地があったからいたのかな。
Commented
by
Kcouscous at 2014-12-01 00:34
*morigurasiさん
ははは。作品の解釈は自由ですからね。 確かに右端の女の人は黒人に見えますね。ワン・ドゥギはこの絵に外国人労働者である母親を感じたんだと思います。 聖書に、畑の落ち穂は(貧しくて食えない)寡婦とみなしごと在留異国人のために残しておけという言葉があって、それを表しているんだという説もあるらしいです。
Commented
by
とっしゅ
at 2014-12-01 20:33
x
この話、実はFBで紹介してみたんですよ。そしたら、ある美大のセンセイが「晩鐘も一日の終わりに畑で祈っているのではなく、流行病で死んだ赤子を埋めて祈っているのだそうですね」とコメントくれました。歴史的背景を知らずには絵の解釈はできないですねぇ。
Commented
by
Kcouscous at 2014-12-01 23:08
*とっしゅさん
その説は聞いたことがありますが、ミレーがそう言ったのか?という疑問はありますね。 作品はいったん作者の手を離れたら、それに何を感じ、どう解釈するかは見る人読む人の勝手で、だからこそおもしろいんじゃないでしょうかね。
Commented
by
desire_san at 2015-01-09 14:21
こんにちは。
ミレーの『落ち穂拾い』に関する興味深いお話ありがとうございます。 ミレーは、大地に根ざし働く農民の姿に日々の労働を慈しむ気持ちや、故郷を愛する心、身の回りの人々に対する慈愛を感じながら描いていように感じ、物語があるように見えますね。 私き今回のミレー展で観た作品や過去に来日したミレーの代表作も含めて、ミレー絵画の特徴や魅力を整理してみましたので、読んでいただけると嬉しいです。ご意見やご感想など何でも結構ですのでコメントいただけると感謝致します。
Commented
by
Kcouscous at 2015-01-11 12:05
|
ファン申請 |
||